はりま酒文化ツーリズム

壷坂酒造

壷坂酒造

日本酒本来のまろやかでじんわりとした「やさしい味」は、
酵母のチカラを引き出す、独特の温度管理に秘訣あり。

約200年前に建てられた本蔵が、今なお現役。歴史を感じさせますね。

壷坂酒造
播磨の酒蔵オーナーの中で、
若い世代のリーダー的な存在でもある
壺坂 良昭 専務

私どもは約400年前から、旧神崎郡で酒作りを始めました。

今の夢前川水系へと越してきたのが江戸時代後期の1805年と記録されています。
それからずっとこちらで酒作りに励み、私で10代目。酒蔵は平成20年に姫路市の都市景観重要建築物に指定されました。

酒造りと同様に大事にしていかないといけませんね。
私自身は16年前に大学を卒業して実家に帰り、杜氏として仕事を始めたのですが、大学の研究などで仕込んでいた酒作りと、本当の酒作りは、仕込む量もまったく違いますし、最初は思うような酒ができずに苦労続きでした。

10年前くらいですね、やっと壺坂の酒らしいなと感じる「やさしい味」にたどり着いたのは。

壺坂酒造は、無ろ過原酒がファンに愛されていますよね。

壷坂酒造
「袋搾り」で時間をかけてていねいに搾りだし、
やさしいまろやかな味にしあげていく

お米の味を大切にした、やわらかでまったりとした味を「やさしい味」と表現しています。

キレではなく、日本酒本来のじんわりとした味、ツンとした酸味がなくて丸く、絞ったまま、無ろ過ならではのどっしりとした感じです。

壺坂の酒をいつも買ってくださる方は、日本酒好きの方が多い。
うちの顔ともいえる「純米吟醸 雪彦山 無ろ過原酒」を新酒の季節には、楽しみにしてくださっています。

無ろ過原酒ならではの日本酒本来の味がお好きだと言って、わざわざ買いに来てくださるのを見ると、本当にうれしいですね。

無ろ濾原酒は、刺身など、素材そのものを楽しむ料理に合うと思いますよ。もちろん食中酒として召し上がっていただけます。

日本酒造りの秘訣は何ですか?

壷坂酒造
精米された酒米を蒸す作業。
蒸し米のできも仕上がりを大きく左右する
重要なポイント

壺坂らしい造り方として特徴的なのは、自然発酵させる酵母の仕込みですね。

温度管理に特徴がありまして、上の温度と下の温度に幅があるんです。温度の上げ下げに幅を作ることで、酒母が元気になるのですね。

この温度経過こそ、まろやかな味にかかせない秘訣。酵母は生き物です。
私たちは、酵母がより心地よい環境で仕事ができるようお世話をする、飼育員さんだと思っているくらいです。

自然の力を借りる酒造りですから、当然、毎年の気候やお米のできで、風味が微妙に違ってきます。
それがまたおもしろいところでもありますね。

日本酒本来の味を求める一方で、新しい素材にも積極的です。

壷坂酒造
おすすめの無ろ過原酒や
女性に人気のリキュールなどが並ぶ直売所。
歴史のある酒蔵の雰囲気も楽しめる

花酵母を使った「純米吟醸雪彦山 夢 なでしこ」というお酒です。

なでしこの花から取った、天然の酵母の香りを、初めてかがせていただいた時、それまでの日本酒にはなかった香りに魅力を感じたのです。

一時、花酵母にはまって、つるばらや日々草(にちにちそう)などの野生酵母も使ってみたのですが、今は一番人気のなでしこのみを続けています。
華やかな香りの後に、丸みのある味をしっかりと感じていただけると思います。

ほかにも平成20年には、ユズのリキュールも開発しました。

こういった女性が飲みやすい商品から入って、日本酒にも興味を持ってもらえるとうれしいなと思っています。

地元の酒造組合では若手のリーダー的存在ですね。

私は1975年生まれで団塊ジュニア世代なのですが、播磨地域の酒造組合には、オーナーの息子さんや娘さんが同世代に多いのです。

私と同じ東京農大の醸造学部を出た人も多い。
もともと播磨の酒造組合は、ほかの地域の方に不思議がられるほど仲がいいし、風通しがいいんですよ。

私自身、酒造りを始めてすぐ、壁にぶつかった時に助けていただいたのは、よその蔵の杜氏さんだったんです。
杜氏は技術がすべてですから、普通なら、よその蔵の者に教えたりすることは考えられませんが、親身になっていろいろと教えていただいたんです。

そのくらい懐が深いですし、お互いに切磋琢磨している関係。
こういう播磨地域独特の風土もあって、息子世代も自然と仲がいいのでしょうね。

たまたま私はその世代では一番年齢が上なので、旗振り役をやっていかなあかんなと。

今はイベントにも積極的に参加しています。
直接お客さんと触れ合って、興味を持ってもらえるようPRしていきたい。
自分の蔵だけじゃなく、「播磨の地酒」として全国区になって、盛り上がっていきたいですね。