はりま酒文化ツーリズム

岡田本家

岡田本家

心機一転、親子二代で醸す手造りの酒、
加古川を代表する銘酒を目指して。

最近まで大手の下請けでお酒を造られていたと聞いていますが。

合名会社岡田本家
オーナーの岡田正敏さん(左)
創業以来初めての女性蔵人 谷原葵さん(中央)
長男の洋一さん(右)

弊社は明治7年(1874年)に創業しまして、現在、私で5代目、息子で6代目になります。

ここ50年ほどは、大手メーカーの下請けとして大量生産をしていましたが、ビールやワインの人気に押されて日本酒自体の消費量が減ったこともあって、メーカーも規模を縮小することになり、弊社とも契約が終了することになりました。

廃業することも一時は考えたのですが、心機一転で息子と一緒に加古川の地酒造りをスタートさせたのが平成22年。
今は、加古川の酒蔵として少しずつ認知していただけるようになったかなというところです。

再出発をしたことで、機械なども少量生産のものに買い替えましたし、規模としては以前の10分の1、生産量にいたっては100分の1くらいに。
それでも「加古川にいい酒がある」と皆さんに言っていただけるようがんばっています。

蔵を代表する銘柄「盛典」について教えてください。

合名会社岡田本家
明治時代から続く「盛典」の歴史を感じさせる
木製の看板。
「盛典」復活を喜び、酒造りを見守っている

大量生産をする以前に、代々作っていた清酒の銘柄です。

弊社は明治時代に創業したのですが、明治天皇即位の礼「御大典」に由来する名前。
ラベルも当時を思わす、昔ながら日本酒らしいものも使っています。

今は自社栽培の五百万石を使った純米酒や、山田錦で仕込んだ吟醸酒などを作っています。
「加古川の伏流水を使った、淡麗な口当たりの甘辛で中庸な酒」と表現させてもらっています。

お客様から「どんな料理にあいますか?」と聞かれることがあります。
そんな時、「冷やして飲むとおいしいですよ」程度のアドバイスはしますが、あえて具体的には言いません。

それはお客様が自由な組み合わせを楽しんでいただければいいと思っているから。
お客様は先入観がありませんから、こちらが思いもしなかった飲み方を逆に教えてくださることもあります。

うちの酒は、そんな意味で包容力のある味ではないかなと思っています。
仕込んでいる量が少ないので、お客様にお待たせしてしまうこともあるのが残念ですが、毎年心待ちにしてくださっている方もいらっしゃって、うれしいですね。

酒米の自家栽培を始められているそうですね。

合名会社岡田本家
白く美しい塗り壁に、
藍色ののれんがよく映えている売店

今、加古川の地酒としてブランド力を高めていこうとしています。

地酒として、地元の土地で採れた酒米で仕込むのは非常におもしろいと思い、播磨の酒造組合の皆さんにアドバイスをもらいながら酒米作りにチャレンジしているところです。

今年は五百万石を栽培しました。
その米で仕込むのが楽しみでもありますね。

花酵母を使ったものにもチャレンジしてみようと思っています。
播磨の酒造組合の皆さんは風通しがよく、私たちががんばろうと思うことには、いろいろと情報やアドバイスをもらえるので、心強い。
こちらとしても胸を借りるつもりで一生懸命勉強させてもらっています。

今後の目標を教えてください。

合名会社岡田本家
酒蔵が存続したことで、
煙突から蒸気があがる
酒造りのなじみの風景も守られた

加古川にかつてはたくさんの酒蔵がありました。
今では私ども1軒のみです。

大手メーカーとの契約が終了する時、廃業という道もありましたが、加古川で最後の造り酒屋がなくなってしまっていいのかと思い、ゼロからの出発を選んだわけです。

これから少しずつ生産量も増やしていきたいですし、地元の皆さんに「加古川のおいしい地酒」としてお土産にたくさん持っていってもらえるよう大きくしていきたいという思いは、ずっと変わりませんね。